新エネ大賞応募

■平成14年度「新エネルギー大賞」 応募申請書 



平成14年度「新エネ大賞」応募申請書

(新エネルギー導入事例)

平成 14年 8月 30日

財団法人 新エネルギー財団
会  長  山本 幸助 様宛

      (申請者)住  所 山形県酒田市本町2-2-45
            個人名/会社名等 酒田市役所
                代表者名 酒田市長 阿部 寿一
               (会社等で応募の場合)                    印

      (申請者)住  所 山形県飽海郡平田町山楯北山66-8
            個人名/会社名等 太陽建築研究所
                代表者名 井山 武司
               (会社等で応募の場合)                    印

      (申請者)住  所 山形県酒田市中央東町4-57
            個人名/会社名等 株式会社加藤組
                代表者名 加藤 久弥
               (会社等で応募の場合)                    印

      (申請者)住  所 山形県酒田市上本町6-7
            個人名/会社名等 前田製管株式会社
                代表者名 前田 直己 
               (会社等で応募の場合)                    印

平成14年度「新エネ大賞」に下記のとおり応募申請します。

1.導入の目的と経過

  酒田市の1976年末の大火後の復興に、この街を出身地とする建築家井山武司は復興専門員として参加しました。街造りにおいて住民の思惑を超えて風や光が街並みを形造ってってゆくことを痛感した井山は、この後自然エネルギーを重視する研究と設計を開始しました。研究の成果も上がり郷里の山間に研究所を開設すべく準備を始めた所、大火復興を通じて交流の出来た当時の酒田市長がこの計画書を見、市民にも自然エネルギーを重視した生活環境を体験してもらいたいと施設の建設計画を指示されました。当時2度のオイルショックを経験しバブルの崩壊の只中で日本の建設技術は進路を見失っておりましたが、計画者たちに迷いは有りませんでした。
 「太陽の家」は、酒田市の環境モデル建築として計画され、酒田市の光が丘公園内に、市民が実際に自然エネルギーの利用とゼロ廃棄を体験してもらうことを目的にした、多目的な集会施設として`96年に建築されました。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NED0)との共同研究事業でもあります。建築の構成は、コンクリートと木造の混構造。延床面積は313.5㎡で、1OkWのPV発電システムと、貯湯量320リットルの真空式ソーラー温水器を有しています。風呂は循環浄化式フルタイムバスを使用し、エネルギーだけでなく水の有効活用にも一役買っています。また、太陽エネルギーの有効利用だけでなく、雨水貯水タンク、高度処理浄化槽による水の浄化と有効利用、生ゴミのたい肥化などを同時に行い、あらゆる面で地球環境への影響を最小限に抑えた環境保全型の施設といえます。このような施設はまた災害等の緊急時にその自給自足性能を活用して住民の避難施設として機能します。

導入した機器・システム等の外観・構造図
taiyou.jpg
太陽の家の南側表面は全て太陽エネルギー獲得のために利用されています。
  窓は太陽ストーブ、屋根には太陽ボイラーと太陽ダイナモ。

2.導入した機器・システム等の概要

(1) 太陽の家
(2) 山形県酒田市光ケ丘3丁目地内
(3) 光ケ丘公園管理休憩研修施設
(4) エネルギー自給システム 及び ゼロ廃棄システム
  建築のエネルギー需要に対する太陽エネルギーによるエネルギー自給システム。


エネルギー源  変換  プロセス=技術    利用
           採光  デイライティング 自然採光
     太陽光   輻射  直接熱取得    自然冷房
               躯体蓄冷     自然暖房
           加熱  太陽熱温水    太陽温泉
  (真空式ソーラー温水器十フルタイムバス)
           発電  太陽電池     自家発電
  (太陽光発電電力会社と逆潮流あり)
   調理 太陽熱温水と太陽電池を利用

  処理
  ●雨水利用 トイレの洗浄水、庭の水やりに利用
  ●高度処理浄化槽 5ppm以下に処理して、池や植栽への散水に利用
  ●生ゴミ堆肥化 庭園の植物の育成

(5)特徴

◎ソラキスの基本的な考え

 建築と太陽との関係は、もともと親子のようなものです。人間は常に太陽光をはじめとする自然エネルギーを巧みに活用して暮らしてきたのです。ところが20世紀に入ってから建築と太陽との関係が無視されてきてしまった。ソラキスというのはこのもともとあった人類の知恵や遺産を、もう一度見つめ直すことをヒントにしています。私は建築には三つの要素があると考えています。1つは建てる人の夢。次に外界から人間を守る「シェルター」としての役割。そして「太陽の恵み」です。快適に暮らすには、太陽の軌跡や、エネルギーといったことを学び、建築に取り入れる必要があるのです。

◎太陽エネルギーの具体的利用

 太陽エネルギーを建築物に取り入れる方法は、いくつかあります。まずは、天窓や南側の大窓による自然採光。これで日中の人工照明は必要ありません。そして直接太陽光を熱にかえて貯える自然暖房。逆に夏場は直射日光を遮り、換気により躯体を冷やす自然冷房。そして太陽熱温水器による給湯。循環浄化式フルタイムバスを使用し、そこに太陽熱温水器からの高温の湯を徐々に足していき24時間湯温を下げずに使用することができます。私はこれを「太陽温泉」と名づけました。そして太陽電池を使用する発電。夜間の照明や若干の冷房なら、これだけでまかなうことができます。

◎太陽エネルギーを最大限活用

 太陽エネルギーを有効利用するため、パッシブソ一ラーハウスでは太陽との位置関係が重要な要素となります。まず考えなければいけないのが、地球の自転軸と公転軸には23.5度の傾きがあるということです。ここ庄内地方では、夏至の頃の太陽は東北東から昇り、昼に74度くらいの高さに達し、西北西に沈みます。逆に冬至のころは東南東から昇って、27度くらいになり、西南西に沈みます。この年間の太陽の軌道と太陽光の入射角を考慮し、建物は正確に南を向き、冬は南側の大きな窓から太陽光をできるだけ多く取り入れ、夏は深い庇で日射を遮蔽するように設計されています。もうひとつ、太陽と地球の間には雲があるということも忘れてはいけません。その地域にどの程度の日射があるかということを過去のデータからチェックし、その分を計算に入れて窓の大きさや数、補助暖房のエネルギー量などを決めます。例えばここ酒田市では、北海道の太平洋側の地域と比べれば、気温は高いけれど日照が悪いため、気候的に厳しいといえますから、太陽エネルギーを取り入れた住宅の場合、単純に気温だけでなく、日照条件も含めての気候に対する考慮が必要となります。

◎構造的な特徴

 高気密、高断熱に加えて、コンクリートの構造体を建物の中に露出させています。これを大容量の蓄熱体として使い、冬は太陽熱による蓄熱、夏は通風による蓄冷を実現しています。特に大事なのは断熱です。なぜなら取り込むことのできる太陽エネルギーの量は計算できますから、逃げる熱の量がそれ以下になるように、しっかりとした断熱をすればいいからです。そのための基本的な考え方は、人問の体と同じような構造にすることです。人の体は骨格、筋肉、皮下脂肪、そして皮膚というつくりになっています。建物も同じように、骨格や筋肉にあたる構造体があって、その外側に皮脂肪である断熱材を張り、皮膚である外壁によって守る、という構造にします。そうすれば、建物の内部の温度は、年間を通じてあまり変わらないようになるのです。

◎寒冷地対策

 特別な寒冷地対策ということはしていません。というのも、パッシブソーラーハウスの場合、建物の中の気温はそれほど下がることがありませんから、すべての仕組みを建物の中に入れてしまえばいい。そして、可能な限り露出する部分をすくなくする。そうすれば凍結といったことの心配はないのです。極端にいえば、太陽熱温水器にガラスのカバーを付けて、建物の中に入れてしまうことで、逆に技術も簡単になり、コストも抑えることができるのです。

◎エネルギー削減の可能性

 日本の業務用建築物のエネルギー消費量は、平均で床面積1平方メートル当たり年問330kWhという結果が出ています。酒田市の「太陽の家」では、年問80kWh、実に平均の25%以下の消費量です。ここで思い出していただきたいのが、この地域は非常に日照条件が悪いということです。冬期の日照が豊富な太平洋側ならば、エネルギー消費量は限り無くゼロに近付けることができます。建築の構成は、1階が外断熱による高機能のコンクリート外壁、2階が木造の混構造。南面に3重ガラスの大きな窓と吹抜けが設けられています。この南側の大きな窓と吹抜けの空問により、冬場は太陽熱を直接構造体に蓄熱、夏場は庇による日射の遮蔽と通風により構造体を蓄冷し、室内の熱を吸収する自然冷暖房の仕組みとなっています。10kWのPV発電システム(太陽光発電)を備え、貯湯量320リットルの真空式ソーラー温水器によって、60度の温水をつくり出しています。また、調理にはソーラー温水器からの給湯を用い、太陽光発電による電磁ヒーターで加熱して調理をすることもできます。冬の日照不足を補う若干の暖房補助を除いて、高いエネルギー自給率を実現しています。

導入の先駆性(次の3または4項のいずれかを記載)

3.導入した新エネルギー機器・システムの先進性

導入時期
 1996年
 バブル崩壊の只中、浪費社会が音を立てて崩れていく中、バブル景気に一切かかわらず研究を続けた成果が実を結んだのです。

導入動機
 市民にこれからの生活のあるべき姿を提示しようという関係者たちの姿勢が、現在の問題を5年以上も前に解決した施設を提供することが出来たのです。

目的
 今、国際的に大きな問題として地球温暖化の原因となっているC02がありますが、IPCC(気候変動1こ関する政府間パネル)によれば、温暖化を止めるには、60~80%の排出削減が必要とも言われています。日本の場合C02の約3分の1が建築そのものから発生しているので、地球環境保護という観点からも、このの試みは大きな価値のあることだと考えています。
現在、地球温暖化ガス排出削減目標を定めた京都議定書が批准され、民生部門での取り組みが大きな課題となっています。排出量取引といった手段では到底カバーしきれず、抜本的な問題解決の鍵は建築の太陽エネルギー利用に懸かっています。太陽の家で実証された技術は先駆的であるとともに普遍的なものであり、日本全国・全世界で活用されるべきであると信じています。住居・学校・病院・コミュニティセンター防災センター・役所をはじめあらゆる建築の新築・改築に利用でき、エネルギー使用量・地球温暖化ガス排出量を劇的に削減します 。

5.啓発効果 及び 直接効果

  民生施設の全てに適用可能です。
 20世紀の消費社会から21世紀の持続的社会への転換の核となる技術であり、全国民・全人類の快適で平和な生活を約束するものです。

  エネルギー発生量  と 全国平均との比較

sun-eng.gif

 上記の図で明らかなように、既存エネルギーとの代替性は非常によく、高い省エネルギーを達成した上で、既存エネルギーを新エネルギーが代替しています。
 建築そのものが装置であり太陽光に直接仕事をしてもらうことで機械装置は不要になります。強いて言えば熱媒体はいりません。照明、暖房、冷房設備を建築工事を単純にすることにより削減し、従って建築工事費を大幅に削減します。太陽の家は、太陽光発電システムを除き、通常の平均的な公共施設の建設費で建てられました。
 また、アメリカ パッシブソーラー会議のでの1983年の報告によれば、太陽エネルギーを利用した公共建築のイニシアルコストは利用しない施設のそれを大きく下回った。

6.独創性・経済性

 20世紀に忘れ去られてしまった建築と太陽との関わりを見直し、建築において消費されるエネルギーを太陽光から創り出す技術を確立しました。

 全国平均との経済性の比較

 業務用建築物の全国平均
   エネルギー消費原単位


電力 ガス 石油  石炭   太陽熱 合計Mcal/㎡年 kWh/㎡年
 1998  130.2 47.4 95.8  6.8   3.8 283.6 330
 2000 132.3 52.8 84.7  5.7   4.0 279.5 325


  エネルギー支出金額原単位


電力 ガス 石油  石炭   太陽熱 合計 円/㎡
 1998  2,719 797 559  54   0 3,828
 2000 2,763 553 494  47   0 3,856

上記全国平均 に比べ「太陽の家」は

1998年  1,399 円/㎡
2000年  1,381 円/㎡

の経済性を達成しています。

 この太陽の家の技術的成果に基づき、太陽建築研究所は東北地方の日本海側においても暖房を必要としない建築技術に取り組み成果を挙げつつあります。これは日本の進んだコンピュータ シミュレーションの技術に基づき、建築部材の開発、特に断熱材・ガラスの進歩を背景にしています。これによってゼロエネルギー建築の可能性は非常に高くなりました。この技術は、燃料電池とのマッチングもよく、現在想定されている燃料電池の規模を大幅に縮小できると考えられます。

7.その他(応募導入事例のみに関係する事項を記述して下さい。)

①特許・実用新案・意匠に関する権利等の取得状況(国内、国外を問わず取得済みおよび申請中のもの)
  なし

②文献等への発表状況(文献名、発表年月日等)
  ・OECD.IEA.CADDET(実証済エネルギー技術の分析及び広報センター)
  発行 再生可能エネルギー部門 テクニカル ブローシャー No.87
   >・Passive and Low Energy Architecture  the 14th International Conference
    Proceedings JAN.9, 1997

③受賞歴の有無(表彰を受けた機関・団体名、年月日、表彰種類等)
 建築フォーラム賞   建築フォーラム 1999   ソラキスの活動へ

④販売状況(販売実績があるものは販売開始年月日、過去3ヶ月の販売実績(国内・国外)、提出日現在 の販売価格、販売予定見込みのものは開始予定年月日、予定価格)

  太陽建築研究所 = SOLAR ARCHITECTURE STUDIO = SOLARCHIS= ソラキスによって 設計された建築をソラキスNo.Xと命名

  主なもの
  1979 ソラキスNo.1 佐藤邸
      ソラキスNo.2 松本邸
  1986 ソラキスNo.20 常夏の家
  1987 ソラキスNo.22 亀城同窓会館 高校研修施設
  1988 ソラキスNo.28 イサク邸 熱帯の自然冷房
  1992 ソラキスNo.32 レアーズビル ソーラービル
  1993 ソラキスNo.33 太陽建築研究所      前田製管部材供給
  1995 ソラキスNo.37 太陽の家  酒田市施設  同上及び加藤組建設
  1996 ソラキスNo.38 大沼酒店  前田製管部材供給
  1997 ソラキスNo.39 グリーンベイ 音楽施設  同上
  2001 ソラキスNo.42 大沼邸

業務用建築物の全国平均
 エネルギー消費原単位
 エネルギー支出金額原単位
出所 日本エネルギー経済研究所「EDMCエネルギー・経済統計要覧」他
住環境計画研究所 資料提供

発電及び電力受給
集計 酒田市役所

温度及び湿度測定 
東北大学大学院都市・建築学専攻 吉野研究室

直接熱取得太陽熱暖房・日射熱取得の計算 
秋田県立大学建築環境システム学科 長谷川助教授

太陽熱温水・日射熱取得の計算
日本電気硝子株式会社ソーラー室

導入事例の名称 太陽の家