復興への提案

復興への提案



私は1976年から1979年までに酒田大火復興の復興専門員として参加し、街造りにおいての自然の役割の重大さを痛感し、自然環境を重視した建築の研究と開発に取り組んできました。

 この度の東日本大震災からの再生をめざし、これまでの私の情報・技術蓄積・経験を生かし、復興の力になりたいと考え、

1,街造り(食料の自給・供給) 2,エネルギー自給 を提案致します。

 太陽建築の災害対応能力は、開発において重要なものとして進展させてきました。今回のような巨大地震と巨大津波の襲来に対しても、太陽建築は万全を備えています。今回の大災害は、国民一人ひとりがこれからの私たちと、私たちの子孫の生活を見直し根本的に立て直す機会となりました。これから安心して生活できる街を造るには、自然環境を重視した建築以外にはありえません。

 建築の基本的機能である太陽エネルギーのコントロールを、パッシブシステム【直接熱取得暖房・躯体蓄冷冷房・自然採光】を建築デザインと建築材料の選択により徹底して行います。

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 これに、【太陽熱温水・太陽熱発電】を加えてエネルギー自給を行います。

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1,街造り(食料の自給・供給)

 丘陵地の南斜面を活用した街造りをします。東北を縦貫する幹線交通施設(東北新幹線、東北自動車道、東北道)から枝分かれして東に向かうローカル線や道路は、東の海に注ぐ川に沿って海岸まで進んでいきます。その渓谷にある丘陵の南斜面を活用して街造りをします。これは、平常時非常時の水源の確保も容易にします。

 今回、海沿いの街は津波で壊滅的な被害を受けました。高台にある街は津波に対しても安全を確保できます。津波や地震に強い街をゼロから造るべきです。

 街造りには農地の確保も欠かせません。高台に家をつくり、その下の方の南斜面に農地(棚田・棚畑)を確保します。日本に石垣イチゴがあるように、地中海には石垣を積んだブドウ畑があります。その畑のオーナーの説明では、自分の畑には3つの太陽【空の太陽・海から反射してくる太陽・温められた石垣からの太陽熱】があり、そのおかげでブドウはよく育つと言っています。このような、太陽エネルギーを活用した農地と、これを覆って南から射す太陽光の直射を受ける非常に効率のよい温室を造ります。排水の有機栽培への利用も考えられます。

 世界では、次のような街造りがあります。

◯ラショードフォンの街並み

 スイスの渓谷にある時計造りの街。すべての窓が南を向き精密作業に焦点をあわせた都市計画。大火からの復興の時に進められました。

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◯スイス ハーレンの集合住居

 スイスの渓谷の南斜面に造られました。世界から建築家たちが集い創り上げ、また世界に分散してその成果を広めた重要なプロジェクト。

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◯アルコサンティ

 アメリカのパオロ・ソレリが指導し、アナサジ(アメリカ原住民を指す)の集落を参考にしてアリゾナの河の南斜面に創られつつある持続可能な社会をめざす街。

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2,エネルギー自給

 太陽エネルギーの活用により東北地方日本海側で、住居全館での通年の快適性とゼロ光熱費を達成し、業務用建築で75%、住居で65%を超えるエネルギー自給を実現しております。
 日本海側では、冬季の荒天による日照不足をこえて可能な限界までの太陽光の活用により、まず70%のエネルギー自給を実現し、主として残る冬季の30%の不足分を風力とバイオマスによって補助します。
太平洋側では、90〜100%のエネルギー自給が可能です。

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このようにして、厳しい自然環境の東北地方でのエネルギー完全自給を実現し全国全世界のモデルとします。建築のエネルギー完全自給を達成すれば、その先には比較的容易に乗り物へのエネルギー供給ーEVへの充電も可能になり、蓄電設備も進化して生活に必要なエネルギーの完全自給が可能になります。

 被災地を含む東北地方太平洋側は、日照特に冬の日照が非常によいので、太陽光を最大限に活用すればエネルギー自給が可能な地域です。私がこれまで作った東北地方日本海側の住宅では、既に1戸が年間16,800kwhのエネルギーを作っています。この住居を太平洋側に作れば、日照時間から計算し、年間28,800kwhのエネルギーを作ることができます。これでエネルギー完全自給が可能です。そして、169,000戸のエネルギー自給型の住居で原発一基のエネルギーを作れます。原発のような巨大なシステムの一点集中型ではなく、其々がエネルギーを作って使う分散システムです。太陽の活用によって、建物はエネルギーを造ることが出来るのです。これはまた各家庭を豊かにし、各国と世界の経済を潤滑にします。今後はこれを日本全体に広めていけば、日本のエネルギー問題は解決できるのです。エネルギー自給型住居が広がれば地球温暖化は過去のものになります。これは全日本・全世界の全世帯に広げていくべきものです。

 災害対策の面からも今後の建物はエネルギー自給型にしていくべきです。エネルギー不足が災害の際に致命的になり、今回の大震災はまさにそれが起こってしまいました。必要なエネルギーを自給できれば非常時においても生活は保護されます。

 これらは共同体の早急になすべきことであり、インフラを個別化して確保し、衛星による情報の交換などをし独立を可能にします。詳しくは、水、電気、住居、食料、燃料、医療、情報、薬品、衛生施設等、こえらが災害で欠乏しないような社会と、その単位である住居を、私たちは創っていきます。地域共同体でも個別の住居でも自給自足して、それぞれが世界的なネットワークで共存していくことを提案します。

 地球に住むすべての人々に太陽エネルギーによる生活を実現し、地球温暖化とエネルギー問題を解決する技術開発を推進します。